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日刊よしぞーplus:原則木曜、日曜はお休みです。

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 今夜も、インドカレーは目の前に積まれた釣り書きと格闘していた。
柴桑へ移動するときも文字通りお荷物となったコレらをどう処分しようかと悩むのが日課になりつつある。

 「こうしてみると大将軍もいい男だな」
机の反対側に座って興味深そうに釣り書きをのぞいていた男がニヤリ、と笑みを浮かべた。

 「まあ、悪くはないわよ。なんといっても今では孫権様の右腕だもの。陸遜様を盾とするなら大将軍は矛。そこらの男には務まらないわ」
顔をあげずに、インドカレーは答える。
 「だいたい、あなたのほうが年上じゃない。悔しくないの?」
 「俺…俺か?俺は別に、偉くなりたいわけじゃないからな。気にしないよ」
 「欲というか…頼りないわね、緑葉兄は…」
ふう、とため息をついてようやく釣り書きから目を離したインドカレーは、じっと男を見つめた。

楓緑葉、26歳。馬騰の懐刀と呼ばれた女傑、楓野志穂の一人息子。馬騰陣営は楓野志穂の軍才、縦横無尽の機略により一時期は大きく勢力を伸ばしたのだが、彼女の引退によってほころびが出始め、馬騰の死によって決定的に弱体化した。まさに馬騰の運命を操った女性の長子である。馬超も手放そうとはしなかったが、妹のように暮らしてきたインドカレーが母親の仇討ちに行くと聞いて無理やり暇乞いをし、ちゃっかり孫和軍に仕官したのだ。孫和も柴桑に駐屯しているため、こうして会いに来ている、というわけだ。

 「いや、俺は…」
 「インドカレー、緊急だ!」
何事か言いかけた楓緑葉の言葉をさえぎり、凌統が飛び込んできた。
 「凌統様!」
 「楓緑葉か。確か幼馴染だったな。失礼する」
 「いえ、大丈夫です。席をはずしましょうか?」
 「いや、一緒に聞いておけ。今しがた伝令があった。寿春を攻撃した孫峻軍が曹丕配下のトウ艾に破れ、長沙へ侵攻した大都督は超雲に敗れた。諸葛誕領の江夏は空城だったため、朱然軍も孫権様の軍にも損害はなしだ」
 「大都督が!大都督の安否は!?」
 「今確認中だ。そろそろ動くぞ。インドカレー、お前を先鋒に任命する。次の戦から戦場に出ろ」
 「わかりました」
 「楓緑葉、おまえにも孫和将軍から話があるだろうが…戦の準備はしておけ」
 「はい」

にわかに慌しくなる柴桑。
結局、楓緑葉が何を言いたかったのか聞きそびれたことにインドカレーが気がついたのは、夜も明けて朝食の時間になってからだった。
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プロフィール
HN:
よしぞー
年齢:
51
性別:
男性
誕生日:
1973/02/20
職業:
平社員
趣味:
飲酒/睡眠/飲食
自己紹介:
〇マイペースじゃないと生きて行けません。

〇基本的にインドア派。

〇でも酒とうまい食い物の為ならどこでも行きます。

〇ルックス、知識、経済力、運動神経全てママンの体内に置き忘れて産まれてしまいました。

〇いわゆる低学歴低身長低収入高脂肪。低スペック。

〇非モテ人生まっしぐら。

〇でも楽なので修正する気ゼロ。

〇オンライン推奨。

〇来世でがんばろう。
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