コラム転載（９）

心温まるお手紙の後で大変恐縮ですが。

超絶不定期連載第９回､コラムのページです。そろそろ、多方面から
　「どこが超絶『不定期』なのか言ってみろ！不定期の何たるかをその体に叩き込んでやる、そこへなおれ！」などと小一時間ほど問い詰められそうですが、気に入ってますので、このままいきます。

もし、突然このページが消滅したら（ああ、きっとシメられて今頃は東京湾の底なんだな）と、心の中でそっと涙をぬぐってください。泣いてくれないと、泣いちゃうから。

それにしても。
さおりちゃん、すばらしいです。私のオバカな頭に一陣の爽やかな風が吹き込んだようです。もう、ダダ泣きです。
こんな子ばっかりだと日本の未来はとても明るいんじゃないか、とワタクシ思うんであります。

さて。
リクエストを頂いております。それも「落ち武者」。リクエストした本人も覚えてないんじゃないかと非常に疑問ですが、さおりちゃんの爽やかな話の後に「落ち武者」はないだろう、ということで、繰越にします。
…すいません、実は圧力がかかってます。首根っこへし折られそうな勢いです。もうダメそうです。

そ、それはともかく。
今回は、夏にちなんで、「脳みそ」の謎について、お話したいと思います。全然ちなんでないかもしれませんが、いつものことです。気にしない。

　「人間は常にその潜在能力の３０％しか使っていない。残る７０％は眠っている状態で、それを引き出すことができれば素晴らしい能力が手に入る」
という話を聞いたことがありませんか？北斗神拳じゃないですよ。まあ、％の数字や細部に違いこそあれ、大まかなところでは聞いたことがある人が大半でしょう。これを根拠に
「自分にはまだ自分でも知らない能力がある。今の自分は本当の自分じゃない」
なんて思っている方もいるでしょう。でも、残念でした。この話、ただの都市伝説。ぶっちゃけ、嘘です。

　少なくとも脳みその活動に関していえば、嘘です。

神経単位は情報を伝えるため、シナプスという独特の連接部で接続をしています。シナプスは軸索末端の膨らんだシナプス前部と、次の神経単位の細胞体や樹状突起にあるシナプス後部からなり、１万分の１～２ミリというわずかのすきま（シナプス間隙）で接続しています。

　このシナプスによる興奮伝達は、神経繊維から神経細胞体への伝導の一部分であって、逆方向には伝わることができません。シナプス小頭には、アセチルコリンなどを含む多数のシナプス小胞やミトコンドリアなどが存在します。

　興奮の伝達はシナプス小胞から発生された興奮伝達物質（興奮性シナプスの場合）や、抑制伝達物質（抑制シナプスの場合）がシナプス間隙に瞬間的に分泌されることで行われています。これらの神経伝達物質がシナプス後膜にある受容体と結合し、それが刺激となって次の神経単位を興奮させるのです。

　このようにシナプスは単なる接続ではなく、伝達物質と受容体を仲立ちにして、一方向へ情報（興奮）を伝達しています。これが、記憶のメカニズムです。

で。この結合は使われれば使われるほど（思い出す回数が多いほど）強化されていきます。逆に、使われなければ、弱体化（思い出せない）し、最終的には結合が消滅（忘れる）してしまいます。

つまり。１日でも使われない脳細胞があるとすれば、その細胞は死んでいってしまうのです。
人間に限らず、脳みそは、１日というスパンで考えれば常にどこかの細胞組織が活動していて、全体で考えれば使っていない場所などどこにもありません。１００％近くの脳細胞が毎日活動しているのです。

ゆえに、未知の力、能力、なんてものは存在しません。確かに、まだ働きが完全に解明されていない部分というのはありますが、「活動している」ことは確認されています。「何のために動いているのかはわからないが、間違いなく活動している」のです。

さて、ショックを受けた方、いらっしゃいましたらゴメンナサイ。自分も含め、今の状態が全力投球、１００％です。
現実を受け入れたほうが楽になりますよ、きっと。

なんだかせつなくなってきたので、この辺で今回は終わりにしましょう。