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 「おぉ~い!鈴央ちゃん、昼にするぞ~!」
 「はぁい☆」

孫権の元を出奔した鈴央は、成都のはるか西、シルクロードに連なる街道沿いの小さな村にいた。
広大な土地、広大な田畑。揺れる木々、風。
小川のせせらぎ、動物の声。
貧しいが、戦のない、人々のぬくもりだけがある、村。
彼女は、ここで畑を耕しながらその日暮らしを続けていた。
もうかれこれ1年近くになるだろうか。

鈴央は可能なら馬超の元へ戻ろうか、とも考えていたのだがよくよく情報を確認してみると、すでに馬超、馬岱はこの世になく、漢の名将といわれた馬援の血筋は絶えていた。
帰る場所がなくなっていることに気が付き、それでも少しでも楓緑葉から離れたい一心で中華のはずれまで来ていたのである。

 「それにしても鈴央ちゃんはよく働くなぁ」
 「そんなことないですよ☆」

干草の束に腰かけて、昼前の休憩時間。
お茶をすすりながら乾物をつまみ、みな思い思いに休息をとっていた。

 「若くて、べっぴんさんだ。うちの息子の嫁になって欲しいくらいだ」
 「またまた☆褒めても何も出ませんよ☆」
 「いやいや。本当だよ。どうだ、悪くなかろ?親の贔屓目じゃないが、息子はあれでも村一番の力自慢。口数は少ないがよく働く」

そういって牛小屋で牛を洗っている男性を見やる。きっとあの男性が彼の息子なのだろう。

 「でも…☆あたしは…☆」
鈴央の脳裏に、楓緑葉が浮かぶ。
 (あたしは…今でも…緑葉様のこと…)
しかし、あの、悪夢のシーンがフラッシュバック。
 (…!!イヤッ!)
 「どうした、鈴央ちゃん?何かまずいこと言ったかのぅ?」
 「い…いいえ、なんでもないです☆」

 「おぉーい、鈴央ちゃん!お客さんだよー!!」
 「え、あたしに…ですか?」
一瞬楓緑葉やインドカレーの姿が思い浮かぶが…すぐに否定する。こんなところまで来てくれるはずがない。
そもそも、ここに自分がいることがわかるはずがない。
 「結構なばぁさまだ。早く行ってやんな」
 「はい☆」

 「お待たせしました、あたしが鈴央です☆」
 「…久しいな、鈴央。元気そうでなによりじゃ」
 「…以前お会いしたことが…?」
 「忘れたのか?わらわを?」
 「…!まさか☆そんな…なぜ…☆」
 「思い出したか。薄情なヤツじゃな」
 「本当に…?すでに血は途絶えたとばかり…☆」
 「兄上や叔父貴はお亡くなりになったが…わらわはこうして生きておる」
 「…ああ…お会いしとうございました…☆馬雲祿様…!」
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(*゜▽゜ノノ゛☆
鈴央 2007/10/23 (Tue) 20:17 編集
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プロフィール
HN:
よしぞー
年齢:
51
性別:
男性
誕生日:
1973/02/20
職業:
平社員
趣味:
飲酒/睡眠/飲食
自己紹介:
〇マイペースじゃないと生きて行けません。

〇基本的にインドア派。

〇でも酒とうまい食い物の為ならどこでも行きます。

〇ルックス、知識、経済力、運動神経全てママンの体内に置き忘れて産まれてしまいました。

〇いわゆる低学歴低身長低収入高脂肪。低スペック。

〇非モテ人生まっしぐら。

〇でも楽なので修正する気ゼロ。

〇オンライン推奨。

〇来世でがんばろう。
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