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吾彦が離反。
作造が独断で諸葛誕領を攻撃し、敗北。

この2つの行動は、すでに孫権の影響力が弱まって来ていることを如実に示していた。
第一の後継者である孫登もすでに40歳。
孫チン軍の参謀として活動しているが、孫権ほどの人心掌握には長けていない。

 「まあ、大都督がなんとかしてくれるでしょう」

気楽な調子で凌統が言う。
その大都督陸遜は傭兵の王平を連れ、劉備領の柴桑へ侵攻、陥落させていた。

 「インドカレー殿、こんなところにいると風邪をひかれますぞ」

盧江をぼんやりと眺めていたインドカレーに警備兵が話しかける。
ふと気がつけばすでに日も暮れかけ、吹く風は冷たくなっていた。
 「あ…すみません、ありがとうございます」
慌てて振り返って警備兵に礼を言う。体がブルッと震えた。かなり冷え込んできたようだ。
 「もう屋敷に戻りましょう」
そう言って歩き出すインドカレー。

凌統を狙い続けるも隙がなく、彼の部下になってから早数年が経つ。
彼女もすでに20歳になっていた。
最初はいかに歴戦の勇士凌統といえどもすでに60歳を超える老将。早々にケリはつくだろう、すぐにでも馬超の元へ帰り、馬超の覇道の手助けをしなければ…などとタカをくくっていたインドカレーだったのだが。
 (…隙がない…。さすがはあの張遼をも退けたという猛将…)
孫権が合肥を攻めたときに張遼の反撃受けたが、体を張ってそれを食い止めた、という逸話は遠く西涼にも聞こえていた。
 (もう少し様子を見よう。幸か不幸か凌統の稽古や実戦のおかげで私の腕も上がっている。焦ることはない。とりあえず今の問題は…軍師殿が持ってくる見合い話をどう断るか、だな)

苦笑。
 20歳といえばもう結婚して、子供ができていてもおかしくない年齢。何を考えているのかわからないが軍師カン沢はインドカレーに早く結婚してほしいらしく、日夜せっせと見合いの釣り書きを持ってくるのだ。
 結婚すれば凌統を狙うことができなくなると思っているのか。
 はたまた20歳にして浮いた噂のひとつもないことを哀れんでのことなのか。

自分の部屋に戻ったインドカレーの目の前に、満面の笑みを浮かべたカン沢がいたこともそう驚くべきことでもないだろう。
 「…ぐ…軍師殿…」
 「おお、戻ってきましたな。今日の釣り書きを持ってきましたぞ。なかなかいい男が揃って…」

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 「劉備と諸葛誕が動き出しましたな」
間者の報告を受け、カン沢が溜息をついた。
 「ほう、場所はどうです?」
それを耳にした凌統が剣を片手にカン沢の隣に並ぶ。

 「諸葛誕配下のカン丘倹が建業を攻撃。これは孫峻将軍が迎撃に成功しました」
 「ほう」
 「しかし柴桑を劉備配下の王伉、張苞が攻め…朱拠将軍と吾彦将軍、李異将軍が防戦にあたりましたが陥落…李異将軍はそのまま姿を消したそうです」
 「離反…か。殿はどうされている?」
 「陸抗将軍に寿春侵攻、孫チン将軍に建安侵攻をお命じになり、これは成功しています」
 「さすがですな」
 「そして…この盧江にも劉備配下の関索、劉巴と傭兵の迷当大王、曹宇、王累が攻めてきています」
 「なんと!出撃命令は?」
 「孫権様直々のご出陣。他、大都督(陸遜)、朱然将軍、沈瑩将軍、そして凌統将軍、あなたに迎撃命令が出ております」
 「久しぶりの戦です。腕がなりますな。…インドカレー、そこにいるな?」
 「…」
 「戦だ。お前はここにいろ」
 「わかった」
 「言葉を慎め。どういういきさつがあろうと、今、俺はお前の上官だ。次にそんな口をきいたら首を刎ねる」
 「…申し訳ありませんでした」
 「孫呉の勢力図と配置図をやる。頭に叩き込んでおけ」
 「はい」

インドカレーは渡された巻物を紐解く。
馬超について勉学も修めたが、馬超自身がそれほど勉学に強いわけではない。読めない字のほうが多かった。それを察したカン沢が一つ一つ説明していく。
大雑把に言うと、こういうことだ。

寿春:陸抗
盧江:孫権、沈瑩、凌統、朱拠、陸遜、吾彦、孫和、朱然
建業:丁奉、孫峻、作造
建安:孫チン
呉、会稽は守備なし。

 「防衛軍、出陣!」
孫権の激で出撃していく軍団を城から見下ろしながら、これは問題ないな、と一人ごちるインドカレーであった。
 「おお、あの西涼兵を率いる錦馬超殿の副将を勤めていた…スープカレー殿のご息女でしたか。して、スープカレー殿の仇が凌統将軍とは…どういうことですかな?一度も剣を交えたことはなかったと記憶しておりますが」

 カン沢は言葉を選びながら慎重に話しかける。カン沢は後世に言われるような弁舌巧みではなく、むしろ舌戦は苦手だったようだ。しかし、だからこそ彼の言葉には重みがある。

 「はい。直接戦場で相まみえたことはございませんでした。しかし…夷陵の戦いの際、大都督陸遜様の命令で凌統が間者を率いたことがあったはずです」
 「ふむ。確かに…もう20年以上前だが…」
 「その時の間者の一人が、私の父親です」
 「なんと…馬騰殿の部下とわが軍の間者が通じていたと…」
 「父と母は愛し合っていたと…そう思っていました。しかし…母は…結局、裏切られたのです…」
 「…二重間者…か」
 「はい…。結局、最後は母は殺され…父だった男は馬超様に成敗されました。幼かった私は馬超様の元で暮らすようになりました。しかし…先日、一連の間者たちの指揮を執っていたのが凌統だとわかり…」
 「馬超殿の元を出てきた、と。そういうことでしたか…」
 「…いいだろう。仇はとらせてやる」
それまで黙って話を聞いていた凌統が口を開いた。
 「だが、今はだめだ。大体、その程度の腕では俺の首は獲れん。どうだ、俺の部下にならないか」
 「!?」
 「首を獲る機会があったらいつでもいい。ただし、普段は部下として俺に協力しろ」
 「…いいでしょう」
こうして、インドカレーは宿敵凌統の部下として行動を共にするようになった。
凌統の胸中には、かつて甘寧を父の仇として狙った自分が映っていたことは想像に難くない。
 「我々も歳をとりましたなぁ」
 「ええ、そうですな、軍師殿」

盧江に浮かぶ闘艦の舳先で酒を酌み交わす老人が二人。軍師殿、と呼ばれた男がふらりと立ち上がり、眼前に広がる大陸に目をやった。

 「どうされましたか、カン沢軍師」
 「いや、なんでもありません。もうそろそろ城に帰るとしましょうか…凌統将軍」

凌統、字は公績。孫策、孫権二代にわたって仕えた凌操の息子である。凌操は当時黄祖の配下だった甘寧に殺されているため、凌統は甘寧を親の仇として狙っている。君主である孫権もそれを知っていて、決して二人を同じ任地に封じることはしなかった。現在、60歳。

カン沢、字は徳潤。虞翻にもその博識を絶賛されるほどの知識を持っていた。著書に『乾象暦注』がある。
謙虚で実直、さらに身分の低いものにも対等の礼を持って接したため、呉での人望は非常に厚く、農民の出にもかかわらず、孫権の子、孫和の教育係を勤めるまでになった。現在、67歳。孫権と同い年である。

 船が接岸する…その時。

 「なっ…何者だ!」
 「賊だ!殺せ!船にそいつを近づけるな!!」

船着場の警護をしていた兵士たちが騒いでいる。

 「賊…?フン、呉も荒れたものだ。軍師殿、私の後ろにお下がりください」

 凌統が剣の柄に手をかけ、前に進み出た。
 「どけーっ!!」
兵隊をなぎ倒しつつ、一直線に凌統の元へ駆け込んできた、一人の少女。年のころ、15~7歳であろうか。
 「わが母スープカレーの仇…凌統!お命頂戴する!!」
叫ぶや否や闘艦に飛び移り、少女は槍をつく。
 「仇…?娘、何かの間違いではないか…?」
少女の渾身の突きを一度、二度、三度と剣で払いながら問いかける凌統。
 「間違いなどであるものか!忘れたとは言わせない!!」

 「待て、落ち着きなさい!」
凌統の背後から大喝。カン沢だ。
一瞬動きが止まる凌統と、少女。
 「娘。仇というならまず話してみなさい。さぁ、その物騒なものをさげてくれんか」
 「…あなたがかのカン沢様ですね。わかりました…ただし、この得物は手元においておきます」
 「かまわんよ。で、話をしてくれるのかな?」
 「はい。私の名前はインドカレーと申します。母は西涼は馬騰様のご長子、馬超様の副将を務めておりました…スープカレーです」

~復活!孟獲くんの大冒険シリーズ第十三部「孟獲くん以外の大冒険limited」スタート!~
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プロフィール
HN:
よしぞー
年齢:
51
性別:
男性
誕生日:
1973/02/20
職業:
平社員
趣味:
飲酒/睡眠/飲食
自己紹介:
〇マイペースじゃないと生きて行けません。

〇基本的にインドア派。

〇でも酒とうまい食い物の為ならどこでも行きます。

〇ルックス、知識、経済力、運動神経全てママンの体内に置き忘れて産まれてしまいました。

〇いわゆる低学歴低身長低収入高脂肪。低スペック。

〇非モテ人生まっしぐら。

〇でも楽なので修正する気ゼロ。

〇オンライン推奨。

〇来世でがんばろう。
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