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会稽防衛戦…諸葛誕配下の文欽により沈瑩が敗北、陥落
江夏防衛戦…姜維配下の関策、閻宇、張翼により孫権、朱然が敗北、陥落。
江陵侵攻戦…姜維側の守将がおらず、凌統により無血開城
零陵侵攻戦…姜維側の守将がおらず、孫チンにより無血開城
寿春侵攻戦…曹丕配下の鍾会、夏候覇、張虎を孫峻、陸抗、朱拠、丁奉が撃破。
交趾侵攻戦…費イ配下の高定により作造が敗北。
大都督陸凱、丞相陸抗が予想していたよりもはるかに大きな周囲の変動が起こり始める。
今回の戦況予想は大将軍作造の方が的確だったようだ。
「厳しい…といえば厳しいな」
今回出撃のなかった孫和軍であるが、戦況報告を聞いて楓緑葉は一人ごちる。
「鈴央は江夏で敗北か…。孫権様もまだ陸遜様の件を引きずっておられるんだろうか?」
ふと夜空を見上げる楓緑葉。風はないのに、なぜか木々がざわめく。
「大都督…」
「どうした、とりゅふ」
「カン沢殿より密書が参っておりますわ」
「ほう…?どれど…!!!」
「…」
「…凌統将軍が…亡くなった…」
「はい、今回の凌統将軍の件に関してお耳に入れておきたいことが…」
とりゅふ。20歳にして大都督の右腕を務める優秀な女性である。
弟の風邪も同じく陸凱の軍にいる。
どちらかといえば非力であり、ずば抜けた知力もあるわけでもないが、男性に勝るとも劣らない豪胆さと冷淡さ、その輝かんばかりの美貌を陸凱に買われ、彼専属の密偵作業に従事する。風邪はまだ16歳の少年で、どちらかといえば天然系。いつもポヤポヤしている。
「…なんだ?何か不穏な動きでもあったか?」
「ええ。凌統将軍の部下、インドカレーのことです。彼女は、凌統将軍を親の仇として狙い、そのために仕官したとの情報です」
「なんと…」
「凌統将軍はそれを知って、なお仕官を認めたそうですが」
「…では、凌統将軍はそのインドカレーとやらに殺されたと?」
「いえ、その可能性は限りなく低いと思いますが…ありえない話ではありませんわね。まだ情報が不足していますのでなんとも」
「そうか」
「ええ。確実な情報ではなかったため報告するつもりはなかったのですけれど…その密書が届きましたのでお話申し上げたまでです。時期尚早だったかもしれません」
江陵侵攻戦。
伝令では無血開城、とあるがその影には二つの戦闘があったことは知られていない。
「どうやら…敵は撤退したようですな」
「凌統将軍、油断は禁物ですぞ。伏兵の可能性もありますからな」
「そうですね。くれぐれも注意します」
キラッ!
江陵城の隠し窓が一瞬光る。
「!!」
カン沢を襲う一筋の矢。
「カン沢殿!」
カン沢を突き飛ばしたインドカレーに矢は…
「!?」
地面に倒れたインドカレーの上に、凌統。彼の背中には深々と矢が刺さっている。
「しょ…将軍!?」
「ぐ…は…俺もヤキが回ったかな…叩き落とせなかったぜ…」
「なぜ…なぜ命を狙う私を助けるのだ!?」
「…フン…た…だの…気まぐれ…だ…よ」
倒れ付す凌統にカン沢が近づく。
「城に残っていたのはごく少数だったようです。鎮圧に成功しました」
「ご…苦労…です、軍師殿…」
「もう話さないで結構です、早く城へ!救護兵!!」
「…いや…まだ…一仕事…残っていま…す…。おい、インドカレー…」
「まさか!無茶ですぞ!」
「インドカレー…約束どおり仇をとらせてやる…」
「ばかな!こんな幕引きなど望んでいない!」
「…格好…つけるな…早くしろ…早く…殺せ」
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
「う…うわぁあああ!できない!こんなのはダメだ!!」
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
「さっさとしなさいよ☆」
「!?鈴央!?なぜここに!?」
「あなた、自分だけそうやって悩んでればいいと思ってるの☆」
「!」
「あなたの身勝手であたしや馬超様、なにより緑葉様にどれだけ迷惑かけてるかわかってる?」
「!!」
「あなたがサッサとしないなら…緑葉様のために…あたしが殺してあげる☆」
戟を振りかぶり、凌統へ振り下ろす鈴央。
「だめぇっ!」
槍で阻むインドカレー。
「だめ?いつもいつもあなたはそうやってあたしの邪魔をするのね☆いいわ、まずはあなたから…殺してあげる!」
「緑葉様☆」
孫和の陣に戻り、楓緑葉の部屋へ戻った楓緑葉と鈴央。先に部屋に入り明かりをつけようとした緑葉を鈴央は呼び止める。
「ん?どうした?」
「ちょっと…このまま、背中を貸してください☆」
「ああ?」
コツン、と緑葉の背中に額を乗せる鈴央。
「ど…どうした?」
「少しこのまま…話を聞いてください☆」
鈴央はこれはまだ機密情報だ、とまず念を入れ、陸遜が死んだことを話し出した。
「…!!」
「わたし…馬騰様や馬超様も好きだったけど、陸遜様も大好きだったんです☆」
「…」
「ホントに…ホントに、大好きだったんです☆」
「…」
「だから…だから…」
「泣いてもいいぜ」
「…いいですよね?今日くらい…泣い…ても…」
「ああ、気にするな。俺は何も見ていないし、聞いてない」
くるりと体を反転させ、緑葉は鈴央をしっかりと抱きしめた。
「…緑葉様…ぅ…ぅわああああぁぁぁあん!」
「…」
「陸…陸遜様―――!うわああぁぁあああん!!」
「…」
結局…
鈴央が泣きつかれて眠ったのは、もう朝方近かった。
陸遜が死んでから4ヶ月。
陸凱の判断により、早馬による伝令が各都市に伝えられた。
江夏へ攻めてきた姜維配下の関彝は辛うじて撃退したものの、新野へ侵攻した朱然と江陵へ侵攻した陸凱は敗走。かなりの損害を受けた。
「大都督…まだ早かったんじゃないですか?」
「政治的配慮です、大将軍」
と陸遜に変わって大都督に就任した陸凱が言う。
「姜維はともかく曹丕への牽制を考えると、今がもっとも適当です」
丞相陸抗が補足する。
「蜀の劉備が崩御し、我が軍も馬超も曹丕も孟獲も蜀への攻撃を考えていました。すでに馬超、曹丕は軍をだしているとの情報も入っています。劉備の後を継いだ姜維も全力をもってこれを迎撃に出ているようです。今なら、父上(陸遜)が亡くなった報せを出しても、我が呉を攻撃するだけの余力は周辺国にありません。それに、弔問の使者を送らなければならない関係で、そうすぐに攻め込んでくるわけにもいかないでしょう」
「なるほど…。そういった意図でしたか。でしたら朱然殿や大都督、あなたの軍が攻撃に出たのは余計だったのでは?」
「いえ、これは陽動として必要でした。全力で戦う必要があったのです。もちろん朱然右護軍都督には了承済みです。大将軍であるあなたの頭越しに指示を出したことは謝ります」
「いやいや、そういった事情なら構いません。とりあえず…丞相、陸遜様の会葬の手配はどうなってますかな?」
「お任せください大将軍。この陸抗最初の任務として必ずや成功させます」
そして。
丞相陸抗を代表として主催された元大都督、陸遜の大会葬は呉の習慣に習い、これ以上ないくらい盛大に執り行われた。その様は、魏、蜀、南蛮など各地に「陸遜の大会葬」として後世に語り継がれるほどのものであったという。
「これは『陸遜の大会葬』だ」といえば「古きを尊び新しきを受け入れ、最高まで昇華した様子」を表す故事成語にまでなった。
孫権と諸葛瑾が今後の策を練っているところに、伝令兵が飛び込んできた。
「なんだ!軍議中だぞ!」
「そ…それどころじゃありません☆一大事ですぅ☆☆」
「わ…わかった、落ち着け鈴央」
「はい☆」
「うむ。で、一大事とは?」
「二つあります☆ひとつは…蜀の劉備が崩御、姜維が遺志を継ぎ、漢中王の位に就きました☆」
「なんと!」
孫権も諸葛瑾も椅子を蹴って立ち上がった。
「これは…荒れますぞ、孫権様」
「ああ…劉備殿は今は敵とは言え、尚香を嫁に出し、親族も同然の関係だった。しかも、人徳派。逆に姜維は諸葛亮を師と仰ぐ軍事派だ。今は北伐に目が向いてるとはいえ、いつ何時こちらに目を向けるかわからん」
「さようですな」
「ひとまず弔問の使者を出そう。伯言(陸遜)に手配を頼まなくてはな」
「それが孫権様☆2つ目の話ですが…」
「なんだ?」
「大都督が亡くなられました☆」
「…!」
立ち上がっていた孫権は言葉もなく、崩れ落ちる。諸葛瑾も声が出せない。
「…な…なんと…いや、なぜ…」
「詳しいことはわかりません、急報ですので☆しかし、遺言は伺っています☆」
「…申せ」
「はい☆
『我が主 孫権様
道半ばにして倒れ、孫権様のお力になれずに逝くことをお許しください。
この陸遜、中華大陸を制した孫権様のお姿をもう見ることができない…そのことだけが心残りです。
しかし、私が倒れてもまだ呉には天に輝く星々のごとき勇将、知将がおります。
その者たちがきっとわが主の覇道を達してくれましょう。
まず、私の後任、大都督に甥の陸凱をお命じください。
左丞相には愚息の陸抗、右丞相に諸葛瑾殿。
そして大将軍には引き続き作造殿を。護軍都督に凌統殿、丁奉殿、朱拠殿、朱然殿、沈瑩殿をそれぞれ前、後
左、右、中に任じていただければしばらくは磐石でしょう。
なお、私が死んだことは混乱を招き、諸国に付け入る隙を与えるだけですから、役職の引継ぎが終わり、陸凱の判断を待って触れを出すようにしてください。
孫権様は天下を統べることのできる大きな器をお持ちです。
これから先の呉の成長を祈りつつ天に帰るとします』
とのことです☆」
「伯言…すべて伯言の言うとおりに計らおう。子瑜(諸葛瑾)、手配を頼む。ワシは少し横になる。鈴央、ご苦労だった」
「ありがとうございます☆で、ちょっと出かけてきていいですか?」
「ああ、かまわん」
「…呉が落ちたな」
「そうね、緑葉兄」
「長沙、桂陽、建業の攻略は成功したらしい」
「そうね、緑葉兄」
「でも、俺たちに出番はなかったなぁ」
「そうね、緑葉兄」
「聞いてるのか?」
「聞いてるわよ」
「それにしちゃうわの空だが」
「今はこの釣り書きを消化するのに忙しいのよ」
「だ…」
「緑葉様ー☆」
「…鈴央!?なんで柴桑に!」
「そりゃあ緑葉様にお会いしに来たのです☆」
「じゃなくて…孫権様は!?」
「今はお休みになられておりますぅ☆」
「…」
鈴央。やはり元馬騰陣営にいた孫朗の部下。24歳と若いながらも孫権の元で先鋒を務める知勇兼備の将であ
「美貌もでしょっ☆」
…知勇兼備、秀麗眉目の将である。
インドカレー、楓緑葉の2人とは幼馴染の関係だが、楓緑葉に大しては友情以上らしい。
逆にインドカレーにはライバル心を持っているようだ。
「あら☆いたの?インドカレー。早く部屋に帰りなさいよ☆」
「ここあたしの部屋」
「じゃあ緑葉様、部屋に帰りましょ☆」
明日、陣営を揺るがす布告が出ようとしている。
それを知りながら…鈴央はいつもと変わらぬ振る舞いを見せていた。
柴桑へ移動するときも文字通りお荷物となったコレらをどう処分しようかと悩むのが日課になりつつある。
「こうしてみると大将軍もいい男だな」
机の反対側に座って興味深そうに釣り書きをのぞいていた男がニヤリ、と笑みを浮かべた。
「まあ、悪くはないわよ。なんといっても今では孫権様の右腕だもの。陸遜様を盾とするなら大将軍は矛。そこらの男には務まらないわ」
顔をあげずに、インドカレーは答える。
「だいたい、あなたのほうが年上じゃない。悔しくないの?」
「俺…俺か?俺は別に、偉くなりたいわけじゃないからな。気にしないよ」
「欲というか…頼りないわね、緑葉兄は…」
ふう、とため息をついてようやく釣り書きから目を離したインドカレーは、じっと男を見つめた。
楓緑葉、26歳。馬騰の懐刀と呼ばれた女傑、楓野志穂の一人息子。馬騰陣営は楓野志穂の軍才、縦横無尽の機略により一時期は大きく勢力を伸ばしたのだが、彼女の引退によってほころびが出始め、馬騰の死によって決定的に弱体化した。まさに馬騰の運命を操った女性の長子である。馬超も手放そうとはしなかったが、妹のように暮らしてきたインドカレーが母親の仇討ちに行くと聞いて無理やり暇乞いをし、ちゃっかり孫和軍に仕官したのだ。孫和も柴桑に駐屯しているため、こうして会いに来ている、というわけだ。
「いや、俺は…」
「インドカレー、緊急だ!」
何事か言いかけた楓緑葉の言葉をさえぎり、凌統が飛び込んできた。
「凌統様!」
「楓緑葉か。確か幼馴染だったな。失礼する」
「いえ、大丈夫です。席をはずしましょうか?」
「いや、一緒に聞いておけ。今しがた伝令があった。寿春を攻撃した孫峻軍が曹丕配下のトウ艾に破れ、長沙へ侵攻した大都督は超雲に敗れた。諸葛誕領の江夏は空城だったため、朱然軍も孫権様の軍にも損害はなしだ」
「大都督が!大都督の安否は!?」
「今確認中だ。そろそろ動くぞ。インドカレー、お前を先鋒に任命する。次の戦から戦場に出ろ」
「わかりました」
「楓緑葉、おまえにも孫和将軍から話があるだろうが…戦の準備はしておけ」
「はい」
にわかに慌しくなる柴桑。
結局、楓緑葉が何を言いたかったのか聞きそびれたことにインドカレーが気がついたのは、夜も明けて朝食の時間になってからだった。
大都督陸遜に直々の軍令を受けたためだ。
その移動の道中、寿春が曹丕、建業が諸葛誕によって落とされ、逆に孟獲領の南海を落としたという伝令が入る。
「少々…厳しい状況ですな」
馬上でカン沢がうなる。
「ふむ…しかし新たに抜擢された大将軍、作造殿が頑張っておられるから…大丈夫でしょう」
カン沢の前を行く凌統が答える。
呉では新参といってもいい、着任して間もない作造を大将軍に推したのは他でもない陸遜だった。
古参の、孫策の代から仕えている者たちは面白くないのも正直なところ。
そのことを知ってか知らずか常に最も戦の激しい所に現れ、時に先陣を、時にしんがりを務め、体を張って戦うその姿に、歴戦の将軍たちもしぶしぶながら彼が大将軍であることを認めたのだった。
「どうです、インドカレー。作造大将軍は?」
「…はい、立派な方だと思いますが…なぜそんなことを聞くのですか?」
「…ふう。釣り書きをキチンと見ていないようですな。昨日渡した中に、大将軍のものもあったはずですぞ」
「…一晩に20も30も釣り書きを見ていられません」
「…そんなにありましたかな?」
「これでも控えめに言ったつもりですが」
「…少し数を減らしましょう」
「そうしてくださるとありがたいですね」
「二人とも。柴桑が見えてきましたぞ。大都督自らお出迎え下さっているみたいだ。インドカレー。粗相のないようにな」
「わかっています」
柴桑の前に陣をはる陸遜は歴戦のつわもの凌統を高く評価していた。
そのため、自ら馬を駆って凌統軍を迎えたようだ。
「インドカレーは大都督にお会いするのは初めてでしたか?」
「ええ、初めてです。軍師殿」
「よく参られた凌統将軍、カン沢軍師。お待ちしておりましたぞ」
「大都督自らのお出迎え、恐縮です」
「さあ、まずは城に入って長旅の疲れを癒してくだされ」
心地よい風に吹かれ、凌統たちは柴桑に入城した。
01 | 2025/02 | 03 |
S | M | T | W | T | F | S |
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1 | ||||||
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9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
〇基本的にインドア派。
〇でも酒とうまい食い物の為ならどこでも行きます。
〇ルックス、知識、経済力、運動神経全てママンの体内に置き忘れて産まれてしまいました。
〇いわゆる低学歴低身長低収入高脂肪。低スペック。
〇非モテ人生まっしぐら。
〇でも楽なので修正する気ゼロ。
〇オンライン推奨。
〇来世でがんばろう。