日刊よしぞーplus:原則木曜、日曜はお休みです。
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「孫権様」
「どうした、丞相?」
「私の独断ではありますが…北方の雄、紅音と今ことを構えるのは得策ではないと考え、諸葛瑾を使者として不可侵条約の締結に向かわせました」
「…なぜだ?」
「なぜかですと?今、この呉は鍾会、王昶、帯来洞主、京唄子、諸葛誕、池田大作という周囲の6勢力と斬り結んでおります。これに加えて紅音とまで矛を交えるのは愚の骨頂。加えて吾彦、司馬望とも友好外交策をとりたいと考えております。まさか孫権様は中華の全勢力を敵にまわして戦おうというのではありますまいな?項羽の行く末はご存知でしょう?」
「…いや、すまない。ご苦労であった」
「では、これで。そろそろ結果の早馬が到着する頃ですので、これにて」
「うむ」
(紅音が不可侵を受け入れるとなると…北方での戦闘は困難になる。かといって未だ地盤の安定しない南方で戦うのはあまりに不利だ…。こうなると…紅音がこの条約を蹴ってくれるのを祈るのみ…か)
しかし。
孫権の願いも届かず、紅音はふたつ返事で不可侵条約締結を快諾。
おそらく孫権との戦闘を避け、鍾会との決戦に注力したかったのだろう。
まさに渡りに舟、というヤツだ。
「孫権様。無事、紅音との不可侵条約締結という大任を果たしてまいりました」
「ご苦労だった、子瑜(諸葛瑾)。ゆっくりと休んでくれ」
「ありがとうございます」
(どうする、作造…陸抗にしてやられたわ…)
成都西方の寒村。
「お元気でらっしゃいましたか☆馬雲祿様?」
「このとおり、年はとったがピンピンしておる。武術の腕は落ちたと思うか?」
「いいえ☆先ほどから感じる鋭い気と隙のなさを見れば、そうは思えません☆」
「そうか。どうじゃ、鈴央。一手交えんか」
「喜んで☆」
馬雲祿。馬超の妹で、彼より10歳年下であった。今では齢69歳になるも、その眼光は衰えない。
幼い頃より馬超や馬岱、ホウ徳に武術を習いたしなみ、楊秋や程銀ら旗本八旗に馬術を習い、成人する頃には「錦馬超」とともに「錦雲祿」と呼ばれるほどの腕前になった。得意の得物は矛と馬上槍。特に魚鱗の陣からの突撃戦法は無敗を誇り、周囲の異民族に恐れられていた。
(「正史」、「演義」には登場しない架空の人物です。周大荒著「反三国志」にのみ登場しますので、キャラ設定などは独自です)
鈴央は戟を手に、馬雲祿は馬にまたがり、馬上槍を構える。
ものめずらしそうに村人が集まってくる。
「鈴央ちゃーん、危ないよ、やめたほうがいいよ?」
ひとりが止めようとする。あの、息子の嫁に、と言っていた村人だ。
「大丈夫です☆これでもあたし、軍属だったんです☆」
「でも…ばぁ様は馬に乗ってるよ?卑怯だよ」
「鈴央、卑怯だと思うか?」
卑怯、という言葉に馬雲祿が反応した。
「いいえ☆戦場で卑怯も何もありません☆」
「よく言った、鈴央。これから見せる技、お前にすべて伝授してやる。韋駄天の異名を持つお前には戟での戦いよりも馬上槍で戦う方が理にかなっているじゃろう」
「ホントですか☆」
「ああ。無敵と言われた西涼騎馬兵の、父上も兄上も叔父貴も納めていた…わらわの祖先、馬援が編み出した馬流槍術と操馬術じゃ」
突然の馬雲祿の申し出に身震いする鈴央。
「それからな、楓緑葉の一件は…とりゅふとかいう間者くずれの策略だそうじゃ」
「!?」
「インドカレーからの伝言じゃ。ったくあの小娘、こんな伝言ひとつでわらわを動かすとは…礼ははずんでもらわんと気がすまん」
「…お姉ちゃんが…?」
「ん?わらわが信用できぬのか?」
「いいえ☆馬雲祿様を遣いに立てるほどのこと、真実に違いありません☆」
「うむ。では、準備はいいな?」
これが身につけられれば、もっと楓緑葉様のお力になれる。純粋にそう思った。
「いつでも☆」
「どうした、丞相?」
「私の独断ではありますが…北方の雄、紅音と今ことを構えるのは得策ではないと考え、諸葛瑾を使者として不可侵条約の締結に向かわせました」
「…なぜだ?」
「なぜかですと?今、この呉は鍾会、王昶、帯来洞主、京唄子、諸葛誕、池田大作という周囲の6勢力と斬り結んでおります。これに加えて紅音とまで矛を交えるのは愚の骨頂。加えて吾彦、司馬望とも友好外交策をとりたいと考えております。まさか孫権様は中華の全勢力を敵にまわして戦おうというのではありますまいな?項羽の行く末はご存知でしょう?」
「…いや、すまない。ご苦労であった」
「では、これで。そろそろ結果の早馬が到着する頃ですので、これにて」
「うむ」
(紅音が不可侵を受け入れるとなると…北方での戦闘は困難になる。かといって未だ地盤の安定しない南方で戦うのはあまりに不利だ…。こうなると…紅音がこの条約を蹴ってくれるのを祈るのみ…か)
しかし。
孫権の願いも届かず、紅音はふたつ返事で不可侵条約締結を快諾。
おそらく孫権との戦闘を避け、鍾会との決戦に注力したかったのだろう。
まさに渡りに舟、というヤツだ。
「孫権様。無事、紅音との不可侵条約締結という大任を果たしてまいりました」
「ご苦労だった、子瑜(諸葛瑾)。ゆっくりと休んでくれ」
「ありがとうございます」
(どうする、作造…陸抗にしてやられたわ…)
成都西方の寒村。
「お元気でらっしゃいましたか☆馬雲祿様?」
「このとおり、年はとったがピンピンしておる。武術の腕は落ちたと思うか?」
「いいえ☆先ほどから感じる鋭い気と隙のなさを見れば、そうは思えません☆」
「そうか。どうじゃ、鈴央。一手交えんか」
「喜んで☆」
馬雲祿。馬超の妹で、彼より10歳年下であった。今では齢69歳になるも、その眼光は衰えない。
幼い頃より馬超や馬岱、ホウ徳に武術を習いたしなみ、楊秋や程銀ら旗本八旗に馬術を習い、成人する頃には「錦馬超」とともに「錦雲祿」と呼ばれるほどの腕前になった。得意の得物は矛と馬上槍。特に魚鱗の陣からの突撃戦法は無敗を誇り、周囲の異民族に恐れられていた。
(「正史」、「演義」には登場しない架空の人物です。周大荒著「反三国志」にのみ登場しますので、キャラ設定などは独自です)
鈴央は戟を手に、馬雲祿は馬にまたがり、馬上槍を構える。
ものめずらしそうに村人が集まってくる。
「鈴央ちゃーん、危ないよ、やめたほうがいいよ?」
ひとりが止めようとする。あの、息子の嫁に、と言っていた村人だ。
「大丈夫です☆これでもあたし、軍属だったんです☆」
「でも…ばぁ様は馬に乗ってるよ?卑怯だよ」
「鈴央、卑怯だと思うか?」
卑怯、という言葉に馬雲祿が反応した。
「いいえ☆戦場で卑怯も何もありません☆」
「よく言った、鈴央。これから見せる技、お前にすべて伝授してやる。韋駄天の異名を持つお前には戟での戦いよりも馬上槍で戦う方が理にかなっているじゃろう」
「ホントですか☆」
「ああ。無敵と言われた西涼騎馬兵の、父上も兄上も叔父貴も納めていた…わらわの祖先、馬援が編み出した馬流槍術と操馬術じゃ」
突然の馬雲祿の申し出に身震いする鈴央。
「それからな、楓緑葉の一件は…とりゅふとかいう間者くずれの策略だそうじゃ」
「!?」
「インドカレーからの伝言じゃ。ったくあの小娘、こんな伝言ひとつでわらわを動かすとは…礼ははずんでもらわんと気がすまん」
「…お姉ちゃんが…?」
「ん?わらわが信用できぬのか?」
「いいえ☆馬雲祿様を遣いに立てるほどのこと、真実に違いありません☆」
「うむ。では、準備はいいな?」
これが身につけられれば、もっと楓緑葉様のお力になれる。純粋にそう思った。
「いつでも☆」
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「おぉ~い!鈴央ちゃん、昼にするぞ~!」
「はぁい☆」
孫権の元を出奔した鈴央は、成都のはるか西、シルクロードに連なる街道沿いの小さな村にいた。
広大な土地、広大な田畑。揺れる木々、風。
小川のせせらぎ、動物の声。
貧しいが、戦のない、人々のぬくもりだけがある、村。
彼女は、ここで畑を耕しながらその日暮らしを続けていた。
もうかれこれ1年近くになるだろうか。
鈴央は可能なら馬超の元へ戻ろうか、とも考えていたのだがよくよく情報を確認してみると、すでに馬超、馬岱はこの世になく、漢の名将といわれた馬援の血筋は絶えていた。
帰る場所がなくなっていることに気が付き、それでも少しでも楓緑葉から離れたい一心で中華のはずれまで来ていたのである。
「それにしても鈴央ちゃんはよく働くなぁ」
「そんなことないですよ☆」
干草の束に腰かけて、昼前の休憩時間。
お茶をすすりながら乾物をつまみ、みな思い思いに休息をとっていた。
「若くて、べっぴんさんだ。うちの息子の嫁になって欲しいくらいだ」
「またまた☆褒めても何も出ませんよ☆」
「いやいや。本当だよ。どうだ、悪くなかろ?親の贔屓目じゃないが、息子はあれでも村一番の力自慢。口数は少ないがよく働く」
そういって牛小屋で牛を洗っている男性を見やる。きっとあの男性が彼の息子なのだろう。
「でも…☆あたしは…☆」
鈴央の脳裏に、楓緑葉が浮かぶ。
(あたしは…今でも…緑葉様のこと…)
しかし、あの、悪夢のシーンがフラッシュバック。
(…!!イヤッ!)
「どうした、鈴央ちゃん?何かまずいこと言ったかのぅ?」
「い…いいえ、なんでもないです☆」
「おぉーい、鈴央ちゃん!お客さんだよー!!」
「え、あたしに…ですか?」
一瞬楓緑葉やインドカレーの姿が思い浮かぶが…すぐに否定する。こんなところまで来てくれるはずがない。
そもそも、ここに自分がいることがわかるはずがない。
「結構なばぁさまだ。早く行ってやんな」
「はい☆」
「お待たせしました、あたしが鈴央です☆」
「…久しいな、鈴央。元気そうでなによりじゃ」
「…以前お会いしたことが…?」
「忘れたのか?わらわを?」
「…!まさか☆そんな…なぜ…☆」
「思い出したか。薄情なヤツじゃな」
「本当に…?すでに血は途絶えたとばかり…☆」
「兄上や叔父貴はお亡くなりになったが…わらわはこうして生きておる」
「…ああ…お会いしとうございました…☆馬雲祿様…!」
「はぁい☆」
孫権の元を出奔した鈴央は、成都のはるか西、シルクロードに連なる街道沿いの小さな村にいた。
広大な土地、広大な田畑。揺れる木々、風。
小川のせせらぎ、動物の声。
貧しいが、戦のない、人々のぬくもりだけがある、村。
彼女は、ここで畑を耕しながらその日暮らしを続けていた。
もうかれこれ1年近くになるだろうか。
鈴央は可能なら馬超の元へ戻ろうか、とも考えていたのだがよくよく情報を確認してみると、すでに馬超、馬岱はこの世になく、漢の名将といわれた馬援の血筋は絶えていた。
帰る場所がなくなっていることに気が付き、それでも少しでも楓緑葉から離れたい一心で中華のはずれまで来ていたのである。
「それにしても鈴央ちゃんはよく働くなぁ」
「そんなことないですよ☆」
干草の束に腰かけて、昼前の休憩時間。
お茶をすすりながら乾物をつまみ、みな思い思いに休息をとっていた。
「若くて、べっぴんさんだ。うちの息子の嫁になって欲しいくらいだ」
「またまた☆褒めても何も出ませんよ☆」
「いやいや。本当だよ。どうだ、悪くなかろ?親の贔屓目じゃないが、息子はあれでも村一番の力自慢。口数は少ないがよく働く」
そういって牛小屋で牛を洗っている男性を見やる。きっとあの男性が彼の息子なのだろう。
「でも…☆あたしは…☆」
鈴央の脳裏に、楓緑葉が浮かぶ。
(あたしは…今でも…緑葉様のこと…)
しかし、あの、悪夢のシーンがフラッシュバック。
(…!!イヤッ!)
「どうした、鈴央ちゃん?何かまずいこと言ったかのぅ?」
「い…いいえ、なんでもないです☆」
「おぉーい、鈴央ちゃん!お客さんだよー!!」
「え、あたしに…ですか?」
一瞬楓緑葉やインドカレーの姿が思い浮かぶが…すぐに否定する。こんなところまで来てくれるはずがない。
そもそも、ここに自分がいることがわかるはずがない。
「結構なばぁさまだ。早く行ってやんな」
「はい☆」
「お待たせしました、あたしが鈴央です☆」
「…久しいな、鈴央。元気そうでなによりじゃ」
「…以前お会いしたことが…?」
「忘れたのか?わらわを?」
「…!まさか☆そんな…なぜ…☆」
「思い出したか。薄情なヤツじゃな」
「本当に…?すでに血は途絶えたとばかり…☆」
「兄上や叔父貴はお亡くなりになったが…わらわはこうして生きておる」
「…ああ…お会いしとうございました…☆馬雲祿様…!」
司馬懿軍、作造軍、沈瑩軍、インドカレー軍が北海へ向けて行軍を開始。
迎え撃つのは帝釈天軍、夏候覇軍、鍾会軍。
「司馬懿殿。此度の北海侵攻戦の先陣をお願いしたい」
「大役必ずや果たしてみせます」
「インドカレー殿は中陣を」
「御意」
「沈瑩殿は補給路の確保を。後詰は俺がやる。質問は?」
「ありません」
「では準備にかかってくれ。進軍は明朝、日の出とともに行う」
「将軍」
「蝶子殿?」
「見つかりましたわ」
「何がですか?」
「鈴央殿です」
「(…?何か違和感が…?)本当ですか!?無事なんですか?」
「無事といえば、無事ですわ」
「(何だろう、何かおかしい)それで、どこに?」
「揚子江…いいえ、場所的にはもう長江ですわね。長江の源流にかなり近い、成都から西へ数百里行った寒村でみつかりました」
「(…そうか!わかった!)なんでまたそんなところに…」
「迎えに行きますか?」
「(なるほどね。私をここから離れさせたいわけか)韋駄天の鈴央ならともかく、我々の足では時間がかかりすぎますね。私に考えがあります。蝶子殿、ありがとうございました」
「いいえ、これも部下の務めですわ」
「ところで蝶子殿」
「なんでしょう?」
「なぜ鈴央が行方不明なことをご存知なのかしら?かん口令がしいてあるはずですが」
「…!(しまった!)」
「これを知っているのは…先日の会合出席者と…大都督に近しい者と…丞相に近い者…」
「…何をおっしゃっているのかわかりませんわ。兵たちの噂話を聞いただけです」
「なるほど。ただの流言で間者を放ち、成都のはずれまで人をやり、存在を確認した、とそういうわけですか。これはまた奇妙な話ですね」
いつの間にかりさ☆が立っていた。
「くっ…」
「蝶子殿?わたしはあなたをどうこうする気はありません。わたしに付きませんか?雅逡殿とともに」
「…二重間者になれ、と?」
「ええ」
「二重間者なんてあなたの口から出るとは思いませんでしたわ。あなたの母親は…」
「その話は関係ありません。で、どうなんですか?」
「報酬は?」
「わたしにできることなら、なんでも」
「なんでも?あなたの命、と答えるかもしれませんわよ?」
「すべてが落ち着いたら、それもいいでしょう」
「…フン。面白いですわね。でも、まだ答えはだしませんわ。雅逡にはわたくしから話しておきます。返答は、いずれ」
「よろしく」
「そうそう。借りを作るのは性にあわないので、ひとつ情報をあげましょう。藍跳には気をつけなさいな」
「…感謝します」
そう言って蝶子は去っていった。
明け方。
戦闘が始まったことは記憶にあるのだが、インドカレーは鈴央を連れ戻す算段で頭がいっぱいだったので、何がどうなったのかほとんど覚えていない。
ただ、今回の戦はいつもにまして兵たちの士気が高く、手足のように動いてくれたことだけは感じていた。りさ☆はともかく、蝶子、雅逡なりの返答なのだろうか。
北海陥落。
各軍とも兵たちの損傷はほとんどなかったのだが…先陣をきっていた司馬懿が流れ矢にあたって落馬、死亡してしまった。
作造にとってはかなりの痛手である。
完全勝利とは裏腹に、重苦しい雰囲気をまとっての入城となってしまった…。
迎え撃つのは帝釈天軍、夏候覇軍、鍾会軍。
「司馬懿殿。此度の北海侵攻戦の先陣をお願いしたい」
「大役必ずや果たしてみせます」
「インドカレー殿は中陣を」
「御意」
「沈瑩殿は補給路の確保を。後詰は俺がやる。質問は?」
「ありません」
「では準備にかかってくれ。進軍は明朝、日の出とともに行う」
「将軍」
「蝶子殿?」
「見つかりましたわ」
「何がですか?」
「鈴央殿です」
「(…?何か違和感が…?)本当ですか!?無事なんですか?」
「無事といえば、無事ですわ」
「(何だろう、何かおかしい)それで、どこに?」
「揚子江…いいえ、場所的にはもう長江ですわね。長江の源流にかなり近い、成都から西へ数百里行った寒村でみつかりました」
「(…そうか!わかった!)なんでまたそんなところに…」
「迎えに行きますか?」
「(なるほどね。私をここから離れさせたいわけか)韋駄天の鈴央ならともかく、我々の足では時間がかかりすぎますね。私に考えがあります。蝶子殿、ありがとうございました」
「いいえ、これも部下の務めですわ」
「ところで蝶子殿」
「なんでしょう?」
「なぜ鈴央が行方不明なことをご存知なのかしら?かん口令がしいてあるはずですが」
「…!(しまった!)」
「これを知っているのは…先日の会合出席者と…大都督に近しい者と…丞相に近い者…」
「…何をおっしゃっているのかわかりませんわ。兵たちの噂話を聞いただけです」
「なるほど。ただの流言で間者を放ち、成都のはずれまで人をやり、存在を確認した、とそういうわけですか。これはまた奇妙な話ですね」
いつの間にかりさ☆が立っていた。
「くっ…」
「蝶子殿?わたしはあなたをどうこうする気はありません。わたしに付きませんか?雅逡殿とともに」
「…二重間者になれ、と?」
「ええ」
「二重間者なんてあなたの口から出るとは思いませんでしたわ。あなたの母親は…」
「その話は関係ありません。で、どうなんですか?」
「報酬は?」
「わたしにできることなら、なんでも」
「なんでも?あなたの命、と答えるかもしれませんわよ?」
「すべてが落ち着いたら、それもいいでしょう」
「…フン。面白いですわね。でも、まだ答えはだしませんわ。雅逡にはわたくしから話しておきます。返答は、いずれ」
「よろしく」
「そうそう。借りを作るのは性にあわないので、ひとつ情報をあげましょう。藍跳には気をつけなさいな」
「…感謝します」
そう言って蝶子は去っていった。
明け方。
戦闘が始まったことは記憶にあるのだが、インドカレーは鈴央を連れ戻す算段で頭がいっぱいだったので、何がどうなったのかほとんど覚えていない。
ただ、今回の戦はいつもにまして兵たちの士気が高く、手足のように動いてくれたことだけは感じていた。りさ☆はともかく、蝶子、雅逡なりの返答なのだろうか。
北海陥落。
各軍とも兵たちの損傷はほとんどなかったのだが…先陣をきっていた司馬懿が流れ矢にあたって落馬、死亡してしまった。
作造にとってはかなりの痛手である。
完全勝利とは裏腹に、重苦しい雰囲気をまとっての入城となってしまった…。
相変わらず、北海に駐屯する鍾会配下の帝釈天、元気、夏候覇と君主鍾会が波状攻撃を城陽に仕掛けてくるため、作造、司馬懿、沈瑩は防戦に大忙しだった。
「インドカレー」
「はい、なんでしょう大将軍」
「極秘の会合がある。参加してくれないか」
「…はい?」
「鍾会の迎撃で忙しいのは重々承知の上だが、こちらも急をようするのだ」
「わかりました」
「りさ☆殿、軍の指揮をしばらくお願いします。蝶子殿、雅逡殿も」
「わかりましたよo(^-^)o」
「さて。みんな、急に集まってもらって申し訳ない。感謝する」
大将軍作造の前に並ぶ将軍や副将たち。
丁奉軍の丁奉と副将の孫異。
陸抗軍の副将孫秀。
朱然軍の朱然と副将山茱萸。
飛図軍の飛図と副将トウ賢。
インドカレー軍のインドカレー。
作造軍の副将藍跳。
司馬懿軍の司馬懿と副将雅丹。
孫和軍の副将おはる。
孫権軍の副将白虎。
朱拠軍の朱拠。
孫チン軍の副将全端。
李豊軍の李豊。
「今から話すことはここにいる16名だから話すことだ。くれぐれも内密にしてもらいたい」
おのおの、コクリとうなずく。
「まず、今の呉国だが…3つの派閥に分かれている。一つは、この俺。派閥、という考えはなかったんだが…そう思われている。二つ目は、大都督陸凱殿。わかっているのはとりゅふ殿や孫和殿、孫峻殿、孫チン殿、沈瑩殿がここに属する」
ざわつき始める一同。
「そして三つ目は、丞相陸抗殿。現在、諸葛瑾殿、諸葛格殿、雅逡殿が属すことが判明している」
「!!」
驚愕するインドカレー。
「そして…楓緑葉も我が派だったのだが、先日…とりゅふ殿に篭絡されたことが判明した」
「!!!」
「それを恋仲だった鈴央殿に見せ、離間と同時に韋駄天鈴央の失脚を狙ったものと思われる」
(…そういうことだったの…)
「現在、鈴央殿は消息不明。彼女の存在が我々にとっての鍵だ。まず、なんとしても無事に保護したい」
(今どこにいるの、鈴央…)
「で、鈴央殿の捜索と緑葉殿、鈴央殿の関係修復を二人と幼馴染であるインドカレー、あなたに頼みたい」
「…できるかどうかわかりませんが…わかりました。やってみます」
「ありがとう。みんな、大都督や丞相の政策では呉はいずれ消滅してしまう。なんとしても食い止めなければいけない。頼むぞ」
「御意」
「解散だ」
「丞相」
「おお、蝶子か」
「大将軍の会合は終了しましたわ」
「どうだった?」
「はい。雅逡が丞相の派閥であることをあえて漏らし、私への嫌疑は回避しましたわ」
「よくやった。しっかり動いてくれ」
「はい」
「なるほどな」
「大都督、どうしましょう?」
「今はまだ動くな。時期がきたら知らせる」
「御意に」
「それまではうかつなマネをしてヘマするなよ、藍跳」
「わかっております」
互いの腹の探りあいや騙しあいは熾烈を極める。
「インドカレー」
「はい、なんでしょう大将軍」
「極秘の会合がある。参加してくれないか」
「…はい?」
「鍾会の迎撃で忙しいのは重々承知の上だが、こちらも急をようするのだ」
「わかりました」
「りさ☆殿、軍の指揮をしばらくお願いします。蝶子殿、雅逡殿も」
「わかりましたよo(^-^)o」
「さて。みんな、急に集まってもらって申し訳ない。感謝する」
大将軍作造の前に並ぶ将軍や副将たち。
丁奉軍の丁奉と副将の孫異。
陸抗軍の副将孫秀。
朱然軍の朱然と副将山茱萸。
飛図軍の飛図と副将トウ賢。
インドカレー軍のインドカレー。
作造軍の副将藍跳。
司馬懿軍の司馬懿と副将雅丹。
孫和軍の副将おはる。
孫権軍の副将白虎。
朱拠軍の朱拠。
孫チン軍の副将全端。
李豊軍の李豊。
「今から話すことはここにいる16名だから話すことだ。くれぐれも内密にしてもらいたい」
おのおの、コクリとうなずく。
「まず、今の呉国だが…3つの派閥に分かれている。一つは、この俺。派閥、という考えはなかったんだが…そう思われている。二つ目は、大都督陸凱殿。わかっているのはとりゅふ殿や孫和殿、孫峻殿、孫チン殿、沈瑩殿がここに属する」
ざわつき始める一同。
「そして三つ目は、丞相陸抗殿。現在、諸葛瑾殿、諸葛格殿、雅逡殿が属すことが判明している」
「!!」
驚愕するインドカレー。
「そして…楓緑葉も我が派だったのだが、先日…とりゅふ殿に篭絡されたことが判明した」
「!!!」
「それを恋仲だった鈴央殿に見せ、離間と同時に韋駄天鈴央の失脚を狙ったものと思われる」
(…そういうことだったの…)
「現在、鈴央殿は消息不明。彼女の存在が我々にとっての鍵だ。まず、なんとしても無事に保護したい」
(今どこにいるの、鈴央…)
「で、鈴央殿の捜索と緑葉殿、鈴央殿の関係修復を二人と幼馴染であるインドカレー、あなたに頼みたい」
「…できるかどうかわかりませんが…わかりました。やってみます」
「ありがとう。みんな、大都督や丞相の政策では呉はいずれ消滅してしまう。なんとしても食い止めなければいけない。頼むぞ」
「御意」
「解散だ」
「丞相」
「おお、蝶子か」
「大将軍の会合は終了しましたわ」
「どうだった?」
「はい。雅逡が丞相の派閥であることをあえて漏らし、私への嫌疑は回避しましたわ」
「よくやった。しっかり動いてくれ」
「はい」
「なるほどな」
「大都督、どうしましょう?」
「今はまだ動くな。時期がきたら知らせる」
「御意に」
「それまではうかつなマネをしてヘマするなよ、藍跳」
「わかっております」
互いの腹の探りあいや騙しあいは熾烈を極める。
「鈴央…?待ってなさいって言ったのに…あの子はもう!」
慌てて部屋を飛び出したインドカレー。
「あっ、将軍!?どこへいかれるんですか?(^Д^ )」
「りさ☆殿!鈴央を見ませんでしたか!?」
「見かけませんが…」
「そうですか、ありがとうございます!」
(ああもう、いったいどこへ…)
「将軍!」
「蝶子殿!」
「そんなに慌ててどうされたのです?」
「わたしの知人の鈴央を見かけませんでしたか?」
「知りませんわ」
「そうですか」
「そもそも鈴央という方がどのような方かも知りませんし」
「(;゚Д゚)」
「どうされました、将軍?」
「雅逡殿!鈴央という女性を知りませんか?」
「鈴央?楓緑葉殿と友人以上恋人未満の、あの?」
「はい!」
「戟使いで、楓殿を追いかけて馬超殿に暇乞いした、あの?」
「はい!」
「性格は天真爛漫、『韋駄天』の異名をとるほどアチコチに出没する、あの?」
「は…はい…」
「意外と沈着、見かけによらず頭脳派で、孫権様の懐刀候補にもなっている、あの?」
「…」
「身長158cm、体重48kg、スリーサイズ上から」
「そーいう『知ってる』じゃなくて!」
「見かけません」
「ありがとう!」
「…突っ込み所はソコじゃないのに…」
馬をひいて、城門を飛び出そうとしたインドカレーだが、鍾会陣営の元気軍が目に入った。
「…敵襲!?」
いや、正確には敵襲ではない。攻撃準備のための駐屯地を構築している最中だった。
「先手必勝だわ!インドカレー軍!出撃準備!敵がすぐそばまできてるわ!!」
城内に戻ったインドカレーは声を限りに怒鳴り、召集をかける。
「準備ができたものから…突撃開始!りさ☆殿、蝶子殿、雅逡殿!全軍鋒矢の陣を組んで突っ込んでください!」
「りさ☆騎兵小隊、鋒矢にて出陣!」
「蝶子騎兵隊、鋒矢で突撃!」
「雅逡騎兵部隊、鋒矢の陣を組んで突貫!」
三部隊が突撃を開始する。
準備が遅れた兵をまとめて、インドカレー出陣。
「インドカレー騎兵小隊…魚鱗にて出撃!先行三小隊が討ち漏らした敵を殲滅!」
圧勝。まだ戦闘準備の整っていない元気軍を散々蹴散らし、意気揚々と城陽へ引き上げる。
「雅逡殿」
「何か?」
「あなたをストーカー容疑で拘留します」
「タイ━||Φ|(|゚|∀|゚|)|Φ||━ホ!!! 」
慌てて部屋を飛び出したインドカレー。
「あっ、将軍!?どこへいかれるんですか?(^Д^ )」
「りさ☆殿!鈴央を見ませんでしたか!?」
「見かけませんが…」
「そうですか、ありがとうございます!」
(ああもう、いったいどこへ…)
「将軍!」
「蝶子殿!」
「そんなに慌ててどうされたのです?」
「わたしの知人の鈴央を見かけませんでしたか?」
「知りませんわ」
「そうですか」
「そもそも鈴央という方がどのような方かも知りませんし」
「(;゚Д゚)」
「どうされました、将軍?」
「雅逡殿!鈴央という女性を知りませんか?」
「鈴央?楓緑葉殿と友人以上恋人未満の、あの?」
「はい!」
「戟使いで、楓殿を追いかけて馬超殿に暇乞いした、あの?」
「はい!」
「性格は天真爛漫、『韋駄天』の異名をとるほどアチコチに出没する、あの?」
「は…はい…」
「意外と沈着、見かけによらず頭脳派で、孫権様の懐刀候補にもなっている、あの?」
「…」
「身長158cm、体重48kg、スリーサイズ上から」
「そーいう『知ってる』じゃなくて!」
「見かけません」
「ありがとう!」
「…突っ込み所はソコじゃないのに…」
馬をひいて、城門を飛び出そうとしたインドカレーだが、鍾会陣営の元気軍が目に入った。
「…敵襲!?」
いや、正確には敵襲ではない。攻撃準備のための駐屯地を構築している最中だった。
「先手必勝だわ!インドカレー軍!出撃準備!敵がすぐそばまできてるわ!!」
城内に戻ったインドカレーは声を限りに怒鳴り、召集をかける。
「準備ができたものから…突撃開始!りさ☆殿、蝶子殿、雅逡殿!全軍鋒矢の陣を組んで突っ込んでください!」
「りさ☆騎兵小隊、鋒矢にて出陣!」
「蝶子騎兵隊、鋒矢で突撃!」
「雅逡騎兵部隊、鋒矢の陣を組んで突貫!」
三部隊が突撃を開始する。
準備が遅れた兵をまとめて、インドカレー出陣。
「インドカレー騎兵小隊…魚鱗にて出撃!先行三小隊が討ち漏らした敵を殲滅!」
圧勝。まだ戦闘準備の整っていない元気軍を散々蹴散らし、意気揚々と城陽へ引き上げる。
「雅逡殿」
「何か?」
「あなたをストーカー容疑で拘留します」
「タイ━||Φ|(|゚|∀|゚|)|Φ||━ホ!!! 」
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プロフィール
HN:
よしぞー
年齢:
51
HP:
性別:
男性
誕生日:
1973/02/20
職業:
平社員
趣味:
飲酒/睡眠/飲食
自己紹介:
〇マイペースじゃないと生きて行けません。
〇基本的にインドア派。
〇でも酒とうまい食い物の為ならどこでも行きます。
〇ルックス、知識、経済力、運動神経全てママンの体内に置き忘れて産まれてしまいました。
〇いわゆる低学歴低身長低収入高脂肪。低スペック。
〇非モテ人生まっしぐら。
〇でも楽なので修正する気ゼロ。
〇オンライン推奨。
〇来世でがんばろう。
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