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 「孫和将軍の軍が離反、行方がわからなくなった」
 「…!」
 「どうやら今回の廃嫡騒動が原因らしい」
城陽の物資倉庫。
物陰に隠れるように会話しているのは…丞相陸抗と蝶子だった。
 「孫和様付きの副官だったおはるは一人残り、孫権様の軍へ編入されたようだ。孫権様も話を聞きたいのだろう」
 「それにしても…皇太子廃嫡だなんて、孫権様も何をお考えなのでしょうか」
 「わからん…今はこれ以上の情報がない。叔父貴…大都督陸凱であれば…とりゅふからなんらかの情報を得ているやもしれんが…」
 「まさか…孫峻様?」
 「蝶子、お前もそう思うか。わしもあの男が一枚噛んでいる気がしてならん」
 「…」
 「それはそうと、そっちの情報はどうだ?」
 「インドカレー将軍ですか。現在のところ…鈴央や楓緑葉とのやり取りは確認していません。もっとも緑葉殿は孫和軍配属でしたので…。先日の失策をかなり気にして、ふさぎこんでいますわ」
 「そうか。もっと使えると思ったんだが、人選を誤ったか」
 「今はりさ☆参謀が事実上の指揮をとっております」
 「わかった。お前はそれくらいしか能がないんだ。ヘマするなよ」
 「…」
 「なんだ、その顔は?誰が育ててやったと思ってるんだ?」
 「…申し訳ありませんでした。以後も調査を続行しますわ」

聖人と言われた陸抗の裏の顔。これを知るのは幼い頃に拾われた蝶子と雅逡二人のみ。
人を駒としか考えない冷血漢。これが正体だった。
陸抗に権力を握られてはいけない。
最近なぜか蝶子はそう考え始めていた。
そして。

 「将軍」
 「…?」
 「ここですわ」
 「蝶子殿?そんな床下からどうされたのですか?」
 「静かに。そのまま、聞いてください。そして、何があっても平静を装ってください。いいですわね?」
 「…ええ、わかりました」
 「皇太子孫和様が出奔され、行方がわからなくなりました。楓緑葉も同様です」
 (…!!)
 「原因はわかりませんが…皇太子争いが激化するとともに、大将軍、大都督、丞相の勢力争いも激化する可能性が非常に高いですわ」
 (…緑葉兄…)
 「また、鈴央がこちらに向かっている、との情報を得ていますわ」
 (…馬雲祿様…ありがとうございます…って、そんなことまで知ってるなんて…あなた…)
 「最後に。先日の申し出、受けますわ」
 (それって!)
 「私と雅逡…間者集団【空蝉】はあなたにつくことにします。経緯は追ってお話しますが」
 (ありがとう…)
 「さしあたって、今あなたは気を落として抜け殻のようだ、と丞相には伝えてあります。動くときはそのように振舞ってください。何か必要があれば私か雅逡に申し付けてくださいな」
 (わかりました)
 「では」

ふう、と緊張の糸をほぐし、ため息をつく。
皇太子が出奔。
楓緑葉が行方不明。
蝶子の告白。

 (…ま、わたしが考えても仕方がないわね。なるようになるわ)
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 紀伊。の予測される侵攻都市へと先回りするため、北海へと強行するインドカレー軍。
紀伊。軍を北海手前で発見し、迷うことなく突撃の号令をかけたのだが。

これが敗因だった。

突如、軍団の前の地面がぽっかりと口をあけた。
 「お…落とし穴!!止まれ、全軍止まれーっ!!」
インドカレーは声を限りに叫ぶが…もう遅かった。
次々と乗馬もろとも兵士たちは巨大な落とし穴にのまれ、絶命していった。
生き残ったのは…4人の士官と、数百に満たない資材運搬兵のみ。
屈強な3,000余の軍団は一瞬にして消滅してしまった。

しかも、北海へ行軍する紀伊。本陣は落とし穴を仕掛けたもののその後の偵察はおこなっておらず、インドカレー軍が自滅したことすら気が付いていなかった。なんたる屈辱。

 「くっ…なんということ…」

戦って負けるならまだしも、落とし穴などという基本的な罠にかかっての全滅はインドカレーの士気を大きく削いだのは紛れもない事実だった。
 「寿春にいつまでもとどまっていてもしかたないです(・Д・)どうせなら汝南を攻略しましょう。諸葛誕も文欽も寡兵です(^-^)」
 「ええ、わたしもそう考えています、りさ☆殿。すでに大将軍へ進言してありますが…蝶子殿、雅逡殿はどう思いますか?」
 「お任せしますわ」
 「右に同じく」
 「そうですか」

寿春で遅めの昼食をとりつつこれからの行動について話し合っていたインドカレーたちのもとへ、大将軍からの軍令が届く。
 「失礼します。大将軍からの書簡が届きました」
 「ご苦労様。読み上げてくださいな」
 「かしこまりました、蝶子様。
  『インドカレー将軍
貴殿の汝南制圧の進言、国のためを思ってのことと感服いたす。
しかし、東方に新興勢力である【紀伊。】が興り、その地力も楽観視できるものではない。
よって、今回の貴殿の進言は却下し、下ヒへと侵攻してもらいたい。
これは、軍令である。
健闘を祈る』
以上です」
 「…紀伊ですか…。噂には聞いていますが…そんなに大きな勢力なのですか?」
 「…情報が欲しいのですか?」
 「ええ、蝶子殿」
 「わかりました。紀伊は現在、下ヒに駐屯する新しい勢力ですわ。黄布賊の残党を集めた部隊が主戦力ですが…党首は賊などではなく、宗教家ですの」
 「五斗米道の張魯みたいなものですか?」
 「ええ、似たようなものですが…戦闘力は比較になりませんわね。この先は雅逡の方が詳しいですわ」
 「党首の紀伊。をはじめ…軍師に蝿王。部隊長に釣人、敗走、水扁。士官に本田忠勝、眉三娘、史シンがいる。張魯は生粋の宗教家だったが、紀伊は相当な野心家だ。すきあらば黄布の乱を再発させ、その混乱に乗じて天下をつかもうとしているようだ」
 「…危険ですね。これは…下ヒへ侵攻したほうがよさそうです」
 「伝令兵、ご苦労ですが大将軍へ下ヒ侵攻了解した、と伝えてください」
 「かしこまりました」
かくしてインドカレー軍は下ヒへの侵攻を決断し、準備にとりかかった。



西涼。
 「ふむ。これでわらわから教えられることは全て教えたはずじゃ。あとは実戦で勘をつかむんじゃな」
 「ありがとうございます、馬雲祿様☆」
 「かまわんよ。この貸しは全部インドカレーのつけじゃ」
 「伝えておきます☆」
 「さあ、早く行け。楓緑葉が待っているじゃろ」
 「はい☆馬雲祿様、このご恩は決して忘れません☆どうかご健勝で☆」
 「わかったわかった」
さっさと行け、といわんばかりに手をヒラヒラと振る。
鈴央は最敬礼して馬に飛び乗った。
 「では、行って来ます」
 「ああ、そうじゃ。この白銀の鎧を持っていけ」
 「これは…馬超様の…☆」
 「わらわではもう重くて身に付けることはかなわん。しまいこんでおくよりは使ったほうがよかろ」
 「…ありがたく使わせていただきます☆」
 「なら、今日から【韋駄天の錦鈴央】じゃな」
 「はい☆」
馬に鞭をいれ、呉国へと向けて走り出す鈴央。その顔は、とても晴れやかだった。

紅音との不可侵条約が締結されたことをうけ、北への侵攻が困難になった呉軍は、南方へ目を向けざるをえなくなった。
 「大将軍、お願いがあります」
 「どうした、インドカレー?」
 「このまま北海にいても仕方がありません。手薄な汝南へ行き、諸葛誕と吾彦に備えたいと思うのですが」
 「ふむ…いいだろう。許可する」
 「ありがとうございます」

 「りさ☆殿、蝶子殿、雅逡殿。汝南への移動許可がおりた。すぐに物資をまとめて、移動を開始します」
 「了解」
 「斥候部隊の編成はどうするおつもり?」
 「今回は呉の領内を通るので、部隊編成は行いませんよ、蝶子殿。数名の斥候を出しながら進めばよいかと考えています」
 「わかりましたわ」
 「雅逡殿は物資の運搬部隊を編成してください」
 「…俺でいいのか?」
 「何がですか」
 「俺が丞相派の人間だと言うことはもう知ってるんだろう」
 「知ってます。でも、私の軍団の士官であることも事実。自軍の士官を信用せずに何を信用するというのですか?」
 「…了解した。責任を持って物資輸送をしよう」
 「よろしくお願いします。…えっと、りさ☆殿は幕僚府に連絡して、汝南滞在に関して申請を行ってください」
 「わかりました(つ^ω^)つ」

こうして、一路汝南へと4千名弱の兵士を連れ、道を急ぐインドカレー軍だったが…

 「大変です、将軍!」
 「どうしました!?」
 「汝南へ向けて諸葛誕配下の文欽が侵攻している模様です!その数、およそ1000!」
 「なんてこと…!りさ☆殿、行軍スピードを上げてください!わたしは先に向かいます!」
 「ちょ、将軍!ひとりでなんて…無茶ですわ!!」
 「何とかします!皆は少しでも早く…」

そう言って乗馬に鞭をいれ、インドカレーは駆け出す。

 「敵将文欽!その首、インドカレーが貰い受ける!!」

今まさに攻城兵器を動かそうとしていた文欽軍の横っ腹に、なんとかついてこれた部下数名と突撃を敢行する。
 「なんだ、たった数名でわが軍に突っ込んでくるとは…バカか?」
 「文欽将軍、わたくしにお任せください。一刀の元に切り伏せてご覧にいれましょう」
 「片目か。任せたぞ」
 「文欽ーっ!」
 「この片目がお相手仕る!」
 「インドカレー、参る!」
数名の兵隊を切り伏せたインドカレーは振り向きざまに片目に斬りかかるが、槍や跳ね上げられ、そのまま地面に叩きつけられてしまった。
 「はぅっ!!」
 「覚悟!」
その時。
 「インドカレー将軍を助けますよ!全軍、突撃!¶(`Д´)つ」
りさ☆の号令とともに、4千の兵が突撃を開始。
 「りさ☆殿!」
 「間に合いましたね!(^-^)」
 「だから言ったのですわ」
 「ごめんなさい、でもありがとう」
 「あのまま死なれたら気分が悪いから来ただけですわ」
 「でも、汝南が…」
 「城などあとで取り返せばよろしい。今は寿春へ退きましょう」

雅逡の意見をいれ、インドカレーを救出した軍はそのまま汝南へは寄らず、寿春へと向かっていった。

 「どうした、もう降参か?」
 「…ま…まだです☆ハァアア!」
もうかれこれ三刻ほどもうち合っているだろうか。
相手が馬上槍の名手、馬雲祿とあってか鈴央の戟はことごとくかわされ、まったく相手に届かない。
 「まさか、手を抜いているんじゃあるまいな?」
 「そんなこと…ありません☆これ以上ないくらい本気です!」
 「これがお前の本気か…。買いかぶっていたか」
 「…馬がかわいそうだっただけです☆でも…もう、そんなこと気にしません!」

戟を逆手に持ち、八双に構える。腰は低く落とし、見た目だけなら突き上げを狙ってるとしか見えない。

 「ほう、覚悟を決めたか。ならば…こちらも本気で行くぞ!」

とても70歳間近とは思えない気迫。
これだけ長い間鈴央の攻撃を受けていて、息ひとつ乱れていないのは流石である。

 「行くぞ、鈴央!これで…最後だ!」
 「行きます☆馬さん、ごめんね!」
 「喰らえ!」

 鈴央の目の前で、馬が跳躍。放物線を描き鈴央に向けて馬と、槍の穂先が突っかけてくる。この重量とスピードは…受けとめることも受け流すことも不可能。だが、鈴央は動かない。
 くるりと背中を向け、振り向きざま戟を頭上で回転させる。その戟の回転力で馬の前足を切断、そのまま得物の漸撃軌道を上に向け、馬の首から先を斬りおとした。

馬は声を出す暇もなく、絶命。

首が落ちる。

胴体から奔流のように血が噴出す。
その血が鈴央に容赦なく降りかかるが、気にもせずに…第二撃。

馬は跳躍の放物線のまま大地に激突。
からくも馬の背から離れた馬雲祿も地面に放り出された。

 「ぐはっ!」

なお立ち上がろうとした馬雲祿の目の前に、血みどろになった鈴央が仁王立ちしていた。
戟の刃は馬雲祿の首を狙っている。

 「…いかがでしょうか?」
 「…フン、たいしたもんだ。馬を真っ二つとはな。いいじゃろ、わらわの負けだ」
 「ありがとうございます☆」
 「では、約束通り、わらわの持つ技のすべてを教えてやる」
 「その前に…」
 「なんじゃ?」
 「馬さんの埋葬を」
 「ああ、そうじゃな」

こうして鈴央は馬雲祿に勝利した。
そして村のみなに別れを告げ、技を受け継ぐために一路西涼へと向かっていった。

 (待っていてください、緑葉様。もうすぐ、もうすぐ鈴央が参ります)

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HN:
よしぞー
年齢:
51
性別:
男性
誕生日:
1973/02/20
職業:
平社員
趣味:
飲酒/睡眠/飲食
自己紹介:
〇マイペースじゃないと生きて行けません。

〇基本的にインドア派。

〇でも酒とうまい食い物の為ならどこでも行きます。

〇ルックス、知識、経済力、運動神経全てママンの体内に置き忘れて産まれてしまいました。

〇いわゆる低学歴低身長低収入高脂肪。低スペック。

〇非モテ人生まっしぐら。

〇でも楽なので修正する気ゼロ。

〇オンライン推奨。

〇来世でがんばろう。
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