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中原の戦乱は終わりを迎えようとしていた。

あれほど激しく続いていた戦も、今日はぱったりと止まっている。



もうすぐ禅譲予告日、という日。



いつ、どこに献帝の使者が現れるかわからない。
この中華の広さを考慮に入れれば、すでに使者は出発しているはずなのだ。
その使者は予告当日まで姿を隠すため、一般人に身をやつしているという。

イザーク、劉福、虎彪B、そしてインドカレー。
どの君主も一般の市民を攻撃するつもりはさらさらないが…

まかり間違って傷つけて死なせてしまったら。
もしそれが献帝の使者だったら。

そう考えると当然のことながら戦などする気にもならないのは当然のことだ。
もちろん、禅譲にはまったく関係のない者たちはあいも変わらず小競り合いを続けているようだが。

(…まったく、酔狂なことを)

剣撃の音がしない日常というのも久しぶりだ。
インドカレーは久しぶりにゆっくりと目を覚まし、朝の布団の感触を楽しんでいた。

(どうせ使者をだすなら、鳴り物入りでお遣わしになればよろしいのに。なぜわざわざ隠密行動を…)

 「朝食の時間ですが…いかがいたしますか?」

コンコン、と扉を叩いた近衛兵が尋ねる。

 「そうですね、出かけます」
 「かしこまりました」

着替えて寿春城下の店に入る。

寿春の城内には食堂と呼べるような施設がなかったため、民間の店を借りてそこを食堂として使っているのである。大食堂五軒と小さな食堂20軒。それぞれ味自慢の店で得意な料理も違うため、兵たちはその日の気分で店を変える。

もちろん、士官も兵卒も関係ない。

 「これはインドカレー様、お越しいただき光栄です。お席を準備しますのでしばらくお待ちください」
店主が深々と頭を下げ、従業員に指示をだした。
 「ああ、急がなくてもいいですよ、待ちますので」
 「はい、ありがとうございます。では」
兵士たちはインドカレーを見て一礼すると、また食事に戻った。

民間の食堂を借りる際、上級士官と兵卒が混在することで何か問題は起きないか、という問いに対してインドカレーが決めた規則が3つある。それは

 一、順番を守り、穏やかに食すべし
 一、挨拶は目礼にとどめ、食事を優先すべし
 一、暴力、暴言、ツケ厳禁
以上を守らず市民に迷惑をかけたものは誰であろうと厳罰に処す

である。
この規則は徹底され、みなおとなしく食事をとるのだ。

 「お待たせいたしました」
席に通されたインドカレーは朝定食を注文。茶をすすって食事が来るのを待つ。

そこへ。

 「インドカレー様はおられますかな」

入口で呼ばわる男が一人。

 「…わたしですが」

インドカレーが席を立つ。
さすがに兵士たちはインドカレーを守るように動き出す。

 「いや、剣は収めてください。私は…献帝の使者です。書簡をお持ちいたしました」
 「…え…」
 「お喜びください、インドカレー様。献帝は…あなたに帝位を禅譲されます」
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プロフィール
HN:
よしぞー
年齢:
51
性別:
男性
誕生日:
1973/02/20
職業:
平社員
趣味:
飲酒/睡眠/飲食
自己紹介:
〇マイペースじゃないと生きて行けません。

〇基本的にインドア派。

〇でも酒とうまい食い物の為ならどこでも行きます。

〇ルックス、知識、経済力、運動神経全てママンの体内に置き忘れて産まれてしまいました。

〇いわゆる低学歴低身長低収入高脂肪。低スペック。

〇非モテ人生まっしぐら。

〇でも楽なので修正する気ゼロ。

〇オンライン推奨。

〇来世でがんばろう。
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