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日刊よしぞーplus:原則木曜、日曜はお休みです。

 「…は?」

水をうったような静寂があたりを支配する。
一同…その場にいた者みな、信じられない気持ちであった。

 「…どうしました?インドカレー様…いえ、皇帝」
 「いや…あの…本当に?」
 「はい。このようなこと恐れ多くて嘘などつけません」
 「…謹んでお受けいたします」
 「よかった。これで私も献帝の元へ帰れます。では、禅譲の儀式がございますので…1ヵ月後、長安までお越しください」
 「わかりました」

立ち去る使者。
 「…やりましたな!ご主君!」
いつの間にか後ろにいた蒼欄の声を引き金に、漣のように広がる歓喜の声。
 「インドカレー様、万歳!」
 「皇帝陛下、万歳!」
禅譲を受けたと言う噂はあっという間に町中、そして城内へと伝わり…

その日から数日間は宴会の騒ぎが収まることはなかった。

一ヵ月後。

長安にて献帝より印綬を受け取り、滞りなく儀式を終えたインドカレーの前で臣下の礼をとるイザーク、劉福、虎彪B、京唄子。
 「以後、我々はインドカレー皇帝を主と仰ぎ、忠誠を誓います」
 「よろしくお願いします」
中華全土に恩赦が発せられる。
本日をもって中華は漢より国号「クミン」となり…インドカレーにより統一となったのである。

それからさらに数年。

 「お話とはなんでしょう」
ある日、皇帝執務室に呼び出されたイザーク、劉福、虎彪B、京唄子。
部屋にはいるとインドカレーの腹心だった…フイメイ、獅子、釣人、作造、蒼欄、クラ8世がいた。

 「みんな揃いましたね。実は…実権をフイメイに譲り、私は下がろうと思うのです」
 「…!?」
 「フイメイには話はすべてしてあります。蒼欄とクラ8世にも。もちろん反対されましたが…最終的には納得してもらいました」
 「納得なんてしてません。インドカレー様が戻られるまでの代理、ということで引き受けたのです」
憮然としてフイメイ。
 「まったく…今後はフイメイを主とし、外のことは大都督として蒼欄、中のことは丞相としてクラ8世に謀ってください。他、イザークを燕王、劉福を魏王、京唄子を呉王、虎彪Bを蜀王に封じます。釣人は大将軍、獅子は護軍将軍に任じます。作造は宮中護衛隊の隊長。以上、質問は?」
 「…なぜ…また急に…」
 「急ではありませんよ?イザーク。わたしも…そろそろ子育てがしたくなった。それだけです」
 「こ…!?」
 「もういい歳ですからね。子供を産み、育てるだけの体力があるうちに、ということです」
 「お相手は…」
 「これから決めます」
 「私ではないんですか?」
 「作造…まだそんなことを…」
 「しかし…」
 「とにかく。そういうことで。質問がなければ解散します。私が戻るまでよろしくお願いしますよ」
 「御意」

そして。
その後…インドカレーが宮中に戻ったと言う話はついぞ聞かなかった。
フイメイは皇帝の代理を立派に務め、よく中華を治めたと言う。

平和な時代の始まりであった…。

~孟獲くんの大冒険・第十四部~孟獲くん以外の大冒険legend、完~
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中原の戦乱は終わりを迎えようとしていた。

あれほど激しく続いていた戦も、今日はぱったりと止まっている。



もうすぐ禅譲予告日、という日。



いつ、どこに献帝の使者が現れるかわからない。
この中華の広さを考慮に入れれば、すでに使者は出発しているはずなのだ。
その使者は予告当日まで姿を隠すため、一般人に身をやつしているという。

イザーク、劉福、虎彪B、そしてインドカレー。
どの君主も一般の市民を攻撃するつもりはさらさらないが…

まかり間違って傷つけて死なせてしまったら。
もしそれが献帝の使者だったら。

そう考えると当然のことながら戦などする気にもならないのは当然のことだ。
もちろん、禅譲にはまったく関係のない者たちはあいも変わらず小競り合いを続けているようだが。

(…まったく、酔狂なことを)

剣撃の音がしない日常というのも久しぶりだ。
インドカレーは久しぶりにゆっくりと目を覚まし、朝の布団の感触を楽しんでいた。

(どうせ使者をだすなら、鳴り物入りでお遣わしになればよろしいのに。なぜわざわざ隠密行動を…)

 「朝食の時間ですが…いかがいたしますか?」

コンコン、と扉を叩いた近衛兵が尋ねる。

 「そうですね、出かけます」
 「かしこまりました」

着替えて寿春城下の店に入る。

寿春の城内には食堂と呼べるような施設がなかったため、民間の店を借りてそこを食堂として使っているのである。大食堂五軒と小さな食堂20軒。それぞれ味自慢の店で得意な料理も違うため、兵たちはその日の気分で店を変える。

もちろん、士官も兵卒も関係ない。

 「これはインドカレー様、お越しいただき光栄です。お席を準備しますのでしばらくお待ちください」
店主が深々と頭を下げ、従業員に指示をだした。
 「ああ、急がなくてもいいですよ、待ちますので」
 「はい、ありがとうございます。では」
兵士たちはインドカレーを見て一礼すると、また食事に戻った。

民間の食堂を借りる際、上級士官と兵卒が混在することで何か問題は起きないか、という問いに対してインドカレーが決めた規則が3つある。それは

 一、順番を守り、穏やかに食すべし
 一、挨拶は目礼にとどめ、食事を優先すべし
 一、暴力、暴言、ツケ厳禁
以上を守らず市民に迷惑をかけたものは誰であろうと厳罰に処す

である。
この規則は徹底され、みなおとなしく食事をとるのだ。

 「お待たせいたしました」
席に通されたインドカレーは朝定食を注文。茶をすすって食事が来るのを待つ。

そこへ。

 「インドカレー様はおられますかな」

入口で呼ばわる男が一人。

 「…わたしですが」

インドカレーが席を立つ。
さすがに兵士たちはインドカレーを守るように動き出す。

 「いや、剣は収めてください。私は…献帝の使者です。書簡をお持ちいたしました」
 「…え…」
 「お喜びください、インドカレー様。献帝は…あなたに帝位を禅譲されます」
献帝が禅譲を表明した期限までもうあとわずか。
候補であるイザーク、劉福、虎彪B、そしてインドカレーたちは最後の戦の準備に余念がなかった。

 (どちらにしても…これが終わればもう戦をしなくてすむ)

妙な安堵感を覚えながら各将軍、軍師たちに指示を飛ばす。

今では14の軍団を抱える巨大勢力となり、現存戦力では最大の兵力を保有するまでに成長した。

古参将軍である獅子、釣人を筆頭に文聘、雷銅、GRAL、呂虔、黄祖、作造、郭図、韓暹、孫策、士徽、鍾ヨウ。

 「今回の侵攻が肝ですね、ご主君」
 「ええ。しっかり頼みますよ…獅子」
 「はい。お任せください」

 「釣人は城陽。。鍾ヨウは下ヒ。作造は薊。郭図はショウ。獅子は盧江。GRALは私と建業へ…侵攻してください。
黄祖は北海の防衛。文聘、雷銅、呂虔、郭図、韓暹、孫策、士徽は駐屯都市の防衛をお願いします」
インドカレーが直接指示をだす。
こんなことも珍しい。いつもであれば軍師長である蒼欄を通して発表するのだが。

 「もはや権謀術数も意味をなしません」
インドカレーの隣に立つ蒼欄が恐ろしいことをいう。
自らの存在意義をも揺るがしかねない発言である。
会場はざわめく。
 「…今回の戦は…今までの総決算。軍付きの参謀、軍師たちの頭脳と士官たちの能力。そして兵たちの力。すべてはコレにつきます」
静まる軍議室。
 「我々軍師団の仕事は…ご主君が皇帝になられてからです」
歓声があがる。
 「みな、歴戦の勇士です。期待していますよ!」
 「オオオ!」

解散後。
 「なかなかうまい演説じゃないか、蒼欄」
 「そうですかね?」
 「結局…わたしがこの世界に来た本当の理由はわからなかったわ」
 「なんです?」
 「いや、なんでも。さあ、明日は早い。しっかり休息をとって、勝とう」
 「御意」

情報によれば、明日の昼過ぎには禅譲が布告される。
どの勢力も夜明け前から討ってでるだろう。
そんなことを考えながらインドカレーはいつの間にか深い眠りに落ちていた。
気が付けば。

インドカレー率いる勢力は10を越す都市を制圧し、大きな地力を得ている。
軍団も古参である獅子軍、釣人軍をはじめ士徽軍、文聘軍、雷銅軍、韓暹軍、孫堅軍と揃い。
幕僚も軍師は蒼欄に続きクラ8世、彩麟、張昭、ルック、参謀は那智、ゆち姫と充実してきた。

ただ、その分重圧は重い。
自分のことだけ、自軍のことだけではなく、全都市全士官のこと、全国民のことを考えねばならず…

 「ふう。今日の軍議はこれで終わりにしましょう」
 「わかりました。…お疲れのようですな、大丈夫ですか?」
 「ありがとうクラ8世。大丈夫、ちょっと眠れていないだけです」
 「そうですか」
 「お疲れのところ申し訳ありません、ちょっと相談があるのですが」
 「何?蒼欄」
 「わが陣営の良いところはあまり上下の区別なく、みなが平等であることですが…さすがにこの大所帯になると指揮系統がこんがらがります。ある程度の官職は必要ではないかと」
 「…ふむ。その言い方だともう案はできているようね」
 「はい。余裕ができたらで結構ですので、見ておいていただけませんか?」
 「わかりました」

書簡を受け取り、自室に戻ったインドカレーはまたひとつため息をついて、机の上にソレを広げた。
内容としては大まかにこんな感じだ。

 『驃騎将軍:獅子、車騎将軍:釣人、衛将軍:孫堅、四征将軍:士徽、雷銅、韓暹、文聘
 軍師長:蒼欄、右軍師:彩麟、左軍師:張昭、前軍師:ルック
 参謀長:クラ8世、右参謀:ゆち姫、左参謀、那智』

まあ、無難なセンではある。
異議を述べて雰囲気を壊すのもよくないだろう。

 「近衛兵」
扉の外の兵士を呼び、すべて取り計らうように蒼欄に伝えてください、と言って寝所にはいる。
 (鈴央は元気だろうか…)
時々忘れそうになるとなぜか謀略が飛んでくる。
自分の胸中を見透かされているようだが、なかなか面白い挨拶ではある。

 (これからが正念場…)
そう思い、眠りに付くインドカレーであった。
蝿王も調子が悪いのか、軍議にも出てこず、結局軍は待機したまま。
痺れを切らしたインドカレーによって降格処分となり、副将の釣人が将軍に昇格した。
 「あなたの軍では…三人目の将軍になりますね。お願いしますよ」
 「はい、心得ております。そういえばご主君。我が軍に、ご主君のお知り合いという方が仕官されましたが…ご存知ですか?」
 「…名前は?」
 「作造と申しておりました」
 「さ…作造!?」
 「ご存知なかったですか?」
 「いえ…知っているどころか…見あ…あ、なんでもありません。あとでここにくるように伝えてください」
 「御意」

作造…以前の世界で大将軍を勤め、なおかつインドカレーの見合いの相手。
結局見合いは敵の策略をかわすための作戦だったわけであるのだが。
作造本人はどうもその気があったらしい。

 「失礼します」
 「作造殿!」
 「さ・く・ぞ・う…ですよ、ご主君」
 「まだ言いますか…それより、あなたは確か関羽軍にいたはずでは…」
 「いやまあ、『こっちの世界』に飛ばされてきてから特に目的もなかったんで、そのまま骨を埋めようと思っていたんですが…貴女が君主になるわ、関羽殿は劉備殿から謀反するわで…こっちに来たほうがおもしろいかな、と思ったもので」
 「…そんな理由で…」
 「いけませんか?」
 「いえ…歓迎します。とりあえず新人将軍の釣人を補助してあげてくださいね」
 「わかってますよ」
 「お願いします」
 「ところでご主君…いや、インドカレー殿」
 「なんですか?」
 「見合いの返事、まだもらってませんが」
 「――――!!!」
 「ハハハ、冗談です。では」
 「まったく…」

あの目は冗談ではなかった。
そう思い、深いため息をつくインドカレーだった。
 「近衛兵。獅子将軍をよんでください」
 「かしこまりました」

獅子と話をして気を静めよう。
彼はいい子だ。
インドカレーはそう一人ごちて軽い食事の準備を始めるのだった。
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プロフィール
HN:
よしぞー
年齢:
44
性別:
男性
誕生日:
1973/02/20
職業:
平社員
趣味:
飲酒/睡眠/飲食
自己紹介:
〇マイペースじゃないと生きて行けません。

〇基本的にインドア派。

〇でも酒とうまい食い物の為ならどこでも行きます。

〇ルックス、知識、経済力、運動神経全てママンの体内に置き忘れて産まれてしまいました。

〇いわゆる低学歴低身長低収入高脂肪。低スペック。

〇非モテ人生まっしぐら。

〇でも楽なので修正する気ゼロ。

〇オンライン推奨。

〇来世でがんばろう。
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